Energy Elaine

めて、声にならぬ叫声を上げた。

予想していたことではあったが、実際に報告を受けると、激しく胸を締め付けてくるものがある。

「報せによりますると、初めの内は斎藤様、藤田様らの奮戦もあり、明智軍が優位であったそうにございます」

「優位であったのに、敗走致したと申すのか…？」

「圧倒的な兵の差、また側面を突かれたことによって次第に明智勢は総崩れとなってゆき、退却を余儀なくされたそうにございます」

「して、殿は──殿はご無事なのであろうな！？」

「はい。日没間際であったことが幸いして、殿は僅かな手勢と共に城へとご退却あそばされました」

秀満は首をに振りながら「左様か…、左様か」と独りごちると、微かにに振りながら「左様か…、左様か」と独りごちると、微かにいた。






その頃、明智軍が退却した勝龍寺城では、皆々が手を分けて傷を負った兵たちの手当てにあたっていた。

広い座敷の中に、肩や背中に矢を受けた者、腕や足を斬られた者たちが寝かせられ、薬効や包帯での一時しのぎの治療をされている。

溝尾茂朝が負傷の兵たちを見回っていると、座敷の中に光秀が入って来た。
茂朝はすかさず光秀の前へ進み、一礼を垂れる。

「これは殿──。お休みになっていなくてよろしいのですか？」 https://mathewanderson.livedoor.blog/archives/4685784.html http://mathewanderson.blogg.se/2024/october/entry.html https://mathewanderson.asukablog.net/Entry/7/

「儂は平気じゃ。…それよりも皆のことが気になってな」

「丁度 皆で手分けして手当てを致しているところにございます。されど戦ならば、これしきの負傷は日常茶飯事。お気になされますな」

茂朝は言うが、光秀は腰を屈めて、寝かせられている兵の肩にそっと手を置くと

「儂は今日ほど、人としての責任というものを感じた日はなかった」

「…殿」

「儂一人の欲のせいで、大勢の命を危険にしてしもうた……申し訳ない限りじゃ」るような眼差しを兵に向けながら、悄然として呟いた。

すると茂朝は、両眼に穏やかさをえながら「左様なことはありませぬ」と、静かに首を振った。

「此度の戦で、多くの兵が死に絶え、或いは脱走を図りましたが、敵方に寝返る者はんどおりませなんだ。

誰もが、殿のおを解し、信じていたからこそのこと。全ては、殿のご人徳にございまする」

光秀は茂朝を見据えて、ふっと穏やかな笑みを浮かべた。

「有り難いことを申してくれる。 ──されど、もう良いのじゃ。儂はこれ以上、皆を苦しめとうない」

「…え」

「一度 坂本の城に戻った後、家臣たちを逃がす算段を整えたら、大人しゅう秀吉殿に我が身を差し出そうと思う」

茂朝はわっと双眼を広げ、ややあってから強くかぶりを振った。

「なりませぬ！自ら敵の手に落ちるなど！」
「しかし儂は、そなたや、他の皆々の命を救いたいのだ。残った手勢は七百ばかり。これ以上は…」

「坂本の城に戻れば、こちらと合わせて五千の兵が見込めます！めるには早過ぎまする！」

「茂朝…」

「ご再起を！」

必死の面持ちの茂朝を見て、光秀はそれ以上 断ることが出来なかった。

しかしはっきりとした答えも出せず、光秀はしの沈黙の後

「…ず、坂本に戻ってから考えると致そう」

と、吐息混じりに告げるのだった。





そして同日の深夜。

光秀は、茂朝を含めたか数名の家臣を引き連れて、密かに勝龍寺城を脱出した。

雨の降りる闇夜の道を、愛馬に