2024年11月28日

それから将来の理想やら他愛のな

それから将来の理想やら他愛のない話をしていた。すっかり夜だ。


「今日は泊まっていこうかな」

「久しぶりやね!仕事は大丈夫なん?」


「…あぁ。大丈夫だよ」

仕事といってもほとんど何もない。情けないことに部屋で布団にくるまるか、本を読むしかもうない。


「よかった!」
明里も嬉しそうだ。



「なんとなく。まだ帰りたくないんだ」

山南はそっと呟いた。


いよいよ空からは沢山の涙が落ちてきた。

明日には…止むかなぁ。


二人は直ぐに眠りについた。




翌朝。昨日の天気は嘘だったようにカラッと晴れ渡った。

明里に会って、山南も少しは心が晴れたことだろう。昨日よりは顔色が良い。

「じゃあ、また来るから」

山南は手を上げて島原を出た。島原の門前まで明里は送り出してくれた。



そんな心が晴れた山南にショックな出来事があった。https://carina.asukablog.net/Entry/10/ https://johnn.3rin.net/Entry/10/ https://paul.animech.net/Entry/9/

時代はどこまで彼をいじめるつもりなのだろう。立ち直りかけた山南には酷な話が町では飛び交っていた。


『幕府、血迷ったか』


結構有名な言葉なのではないだろうか。

幕府が血迷っているのは前からだ。そう思いながら山南は屯所へ向かった。


「あ…山南さん…お帰りなさい」

山南が門をくぐると一人の隊士が頭を下げた。


なんとなく暗い。

「あぁ。元気がないね?」
山南は顔を覗き込んだ。



「山南さん…ご存知ないですか?幕府が大虐殺を…多くが水戸藩の者です。私の父も…」

隊士は下に伏いた。もともと水戸藩士なのである。


「幕府が大虐殺…?大虐殺とは何人ぐらいだい?」

山南は怪訝な顔をした。大虐殺なんて言葉を聞くとは思っていなかったのだろう。


「3000超えです…」


「3000…そんな…!」

「攘夷を唱えていた浪士を丸裸にして断首したそうです…。幕府を潰すとか言う狂人じゃないんです。ただの水戸徳川臣です」


「ひどすぎる…。狂ってる。私はそんな奴らから飯をもらいたくない」


「私もです」



しばらくして、その隊士とは別れた。


幕府、血迷ったか…。そういう事か…。


山南はひどく落ち込んだ。なんせ、彼が通っていた道場にくるほとんどは水戸藩士だったからである。


これをきっかけに世の中の攘夷論者は一気に倒幕派に変わった。


意味がわからない。なんで攘夷派を幕府は虐殺するんだ。全く意味がわからない。

山南は混乱する一方だ。


廊下を歩いてもたまに混乱した隊士を目にした。


「もうわからない」


それから数日間。病気のように山南は部屋に籠っていた。


「山南さんどこか具合悪いんでしょうか?」

「さぁ…」

美海と沖田は心配そうに部屋の前に行く。


「でもしばらく一人にしてくれっていってたし…」

そのため美海達は部屋をノックすることも躊躇っている。

「またすぐ出てきますよ。ね?」

沖田にポンポンと優しく頭を叩かれる。


ドキンッ


あー――…なんでこんな時に心臓おかしくなるかなぁ?

美海は山南に出された宿題などすっかり忘れている。


「あ。土方さん」

沖田が廊下の角を指差した。

土方がバッと隠れる。


あれ?なんで俺隠れてんだ?

そう思い、土方は姿を現した。

「よう。別に俺は山南さんの様子を見に来たわけじゃねぇ。ただこの奥の倉庫に用があるだけだ」

土方は目を反らしながら言う。


「ぷっ!」

誰も何も聞いてないのにな。土方さんは素直じゃない。


沖田は知っている。ここのところ食事にも顔を出さない山南を心配して、何度も何度もこそこそと土方は様子を窺いに来ている。


「な!なんだ!本当だからな!」

土方はそう言うとズカズカと倉庫へ向かった。


用も無いくせに。

また沖田はニヤッと笑った。

「土方さん山南さんが心配なんですねぇ」


美海もニヤニヤしている。

こくこくと沖田は頷いた。



Posted by energyelaine at 17:14│Comments(0)
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