2024年05月11日
その時肩に担がれた三津の姿を見た
その時肩に担がれた三津の姿を見た。だらりと下げられた頭は見えたが顔は見えなかった。
それから部屋に転がされ,手足を縛られてるのを見た。
『これ本当に土方の女?子供やない?』
畳に転がってる三津は小柄で細くてどう見ても子供に見えた。
『そう言う趣味?人って分からんな。』
その時の感想はそんなもの。それから部屋に戻ろうとしたら騒ぎの様子を見に久坂も出て来て呼び止められた。
「あの部屋何が居るの?」 https://mathewanderson.livedoor.blog/archives/2774971.html http://mathewanderson.blogg.se/2024/may/entry.html https://mathewanderson.asukablog.net/Entry/4/
三津の放り込まれた部屋を藩士達が代わる代わる覗きに来る。その度に連れてきた奴らが得意気な顔をする。
「土方の女攫ってきたって。どう見ても子供なんやけど。間違って連れてきたんじゃない?」
「子供?」
久坂は眉間にしわを寄せて部屋を覗きに行った。入江もその背後からもう一度中を見た。三津はまだ気を失ってるままだった。
「子供だな……。土方ってそう言う趣味?」
「私と同じ事言っとる。間違いなら親元に帰してやりたいけどこんな事しといて帰せないよね?」
「無理だな。殺すか遊郭に売るか。」
「可哀想。まだ小さいのに。」
「ねぇ何の騒ぎ?」
そこへ外から帰って来た吉田がふらりと現れた。
「土方の女捕まえたんだって。」
入江が見てみと中を指差すと,
「は!?」
吉田は群がる藩士達を押し退けて部屋へ踏み込んで三津の顔を確認した。「捕まえたの誰?」
『ん?怒っとる?』
入江からは吉田の背中しか見えてない。だが声色が完全にキレている。
それに気付かず攫ってきた馬鹿共がまた得意気に自分達だと語りだす。
「そう。君ら後で痛い目見るよ。これをどうするか判断するのは桂さんだ。桂さんが戻るまで絶対に手出しするな。いいか。じゃないと斬るよ。」
吉田はその場に居る全員を牽制した。
「怒り狂ってんなぁ……。」
「ねっ。珍しい。関係ない娘連れて来たからかねぇ?」
それから久坂は触らぬ神に祟りなしと部屋に逃げた。入江も戻ろうと思ったが吉田の態度がどうしても気になった。
『そんなに怒る事?あの娘の命ぐらい稔麿にはどうって事ないやろ。』
気になった入江はその後の吉田の様子をこっそり観察した。
一度部屋に戻った吉田は何度も三津の居る部屋を見回りに来る。そっと中を覗いては戸を閉めて前の廊下を行ったり来たり。
『何がしたいの?そんなに気になる?』
吉田の行動が不可解で今までに見たことの無い姿に入江まで動揺し始めていた時,久坂が吉田を呼びに来た。吉田は名残惜しそうに久坂の自室へついて行く。
『私には内緒の話し?仲間外れなんて冷たいなぁ。』
入江は忍び足で部屋に近付いて二人の会話を盗み聞き。
「あの子,桂さんの判断で家に帰すことは可能だと思う?お前の言い方気になったんだけど。」
『そうそう,私も気になった。』
「あれね土方の女ではないよ。ただの壬生狼の女中。んで桂さんとも面識あんの。覚えてない?桂さんの腕の手当てした子の話。」
「えっあの子なの?」
『えっそこに繋がってんの?』
「そう,あれがそう。だから勝手に処分出来ないよ。でもこんな手荒な真似した以上外に出すのもねぇ……。
だから早急に桂さんに戻るように……。」
「おいっ!女起きたってよっ!」
廊下の奥から響いたその声に久坂の部屋の戸が勢い良く開いた。
その中から吉田が飛び出して来た。入江は壁にへばりついた状態でその姿を見送った。
それから部屋に転がされ,手足を縛られてるのを見た。
『これ本当に土方の女?子供やない?』
畳に転がってる三津は小柄で細くてどう見ても子供に見えた。
『そう言う趣味?人って分からんな。』
その時の感想はそんなもの。それから部屋に戻ろうとしたら騒ぎの様子を見に久坂も出て来て呼び止められた。
「あの部屋何が居るの?」 https://mathewanderson.livedoor.blog/archives/2774971.html http://mathewanderson.blogg.se/2024/may/entry.html https://mathewanderson.asukablog.net/Entry/4/
三津の放り込まれた部屋を藩士達が代わる代わる覗きに来る。その度に連れてきた奴らが得意気な顔をする。
「土方の女攫ってきたって。どう見ても子供なんやけど。間違って連れてきたんじゃない?」
「子供?」
久坂は眉間にしわを寄せて部屋を覗きに行った。入江もその背後からもう一度中を見た。三津はまだ気を失ってるままだった。
「子供だな……。土方ってそう言う趣味?」
「私と同じ事言っとる。間違いなら親元に帰してやりたいけどこんな事しといて帰せないよね?」
「無理だな。殺すか遊郭に売るか。」
「可哀想。まだ小さいのに。」
「ねぇ何の騒ぎ?」
そこへ外から帰って来た吉田がふらりと現れた。
「土方の女捕まえたんだって。」
入江が見てみと中を指差すと,
「は!?」
吉田は群がる藩士達を押し退けて部屋へ踏み込んで三津の顔を確認した。「捕まえたの誰?」
『ん?怒っとる?』
入江からは吉田の背中しか見えてない。だが声色が完全にキレている。
それに気付かず攫ってきた馬鹿共がまた得意気に自分達だと語りだす。
「そう。君ら後で痛い目見るよ。これをどうするか判断するのは桂さんだ。桂さんが戻るまで絶対に手出しするな。いいか。じゃないと斬るよ。」
吉田はその場に居る全員を牽制した。
「怒り狂ってんなぁ……。」
「ねっ。珍しい。関係ない娘連れて来たからかねぇ?」
それから久坂は触らぬ神に祟りなしと部屋に逃げた。入江も戻ろうと思ったが吉田の態度がどうしても気になった。
『そんなに怒る事?あの娘の命ぐらい稔麿にはどうって事ないやろ。』
気になった入江はその後の吉田の様子をこっそり観察した。
一度部屋に戻った吉田は何度も三津の居る部屋を見回りに来る。そっと中を覗いては戸を閉めて前の廊下を行ったり来たり。
『何がしたいの?そんなに気になる?』
吉田の行動が不可解で今までに見たことの無い姿に入江まで動揺し始めていた時,久坂が吉田を呼びに来た。吉田は名残惜しそうに久坂の自室へついて行く。
『私には内緒の話し?仲間外れなんて冷たいなぁ。』
入江は忍び足で部屋に近付いて二人の会話を盗み聞き。
「あの子,桂さんの判断で家に帰すことは可能だと思う?お前の言い方気になったんだけど。」
『そうそう,私も気になった。』
「あれね土方の女ではないよ。ただの壬生狼の女中。んで桂さんとも面識あんの。覚えてない?桂さんの腕の手当てした子の話。」
「えっあの子なの?」
『えっそこに繋がってんの?』
「そう,あれがそう。だから勝手に処分出来ないよ。でもこんな手荒な真似した以上外に出すのもねぇ……。
だから早急に桂さんに戻るように……。」
「おいっ!女起きたってよっ!」
廊下の奥から響いたその声に久坂の部屋の戸が勢い良く開いた。
その中から吉田が飛び出して来た。入江は壁にへばりついた状態でその姿を見送った。
Posted by energyelaine at 01:37│Comments(0)