2024年05月04日
そう言いながらも今日も三津への想いを残して行った
そう言いながらも今日も三津への想いを残して行った。
入江は夕刻には屋敷を出る。夕餉の時刻に三津との鉢合わせを避ける為。
元周は入江の伝言を伝えるべく三津を探していると,
「松子,お前何してる?」
「元周様っ!今日は沢山稽古をつけていただいたのでお返しに掃除でも手伝えたらと!」
三津は襷掛けに姐さん被りで掃除に励んでいた。その姿に一瞬唖然とした元周だがそれから声を上げて笑った。
「そうか。ならついて参れ。」 https://note.com/ayumu6567/n/n87f465a63cc6?sub_rt=share_pb https://community.joomla.org/events/my-events/jinnimo-qikisouna-yande-jieme-jitta.html http://kiya.blog.jp/archives/24619233.html
元周は手招きして三津をとある場所へ連れて行った。
「ここの部屋も磨いとけ。外の景色を見ながらの掃除も良いだろ。」
元周は庭先から門までが望める部屋へ連れて来た。
「凄い。綺麗。」
山の中にある屋敷だからこその木々が生い茂る景色に感嘆の息を洩らした。そして外を眺めていると門に向かい,石段を下りる人影に気が付いた。
「あれ……。」
見覚えのある着物の後ろ姿に三津は身を乗り出した。
「ありつつも 君をば待たむうち靡く 我が黒髪に霜を置くまでに。
今日詠んで行った歌じゃ。このままあなたを待ちましょう。私の黒髪が白髪になるまで。
愛されとるなぁ松子は。
それが終わったら今日も晩酌に付き合えよ。」
そう言い残して元周は部屋を出た。三津は深く頭を下げた後に,また身を乗り出して入江が馬で去って行く姿を見届けた。
『あんなに冷たく突き放したのに……。』
早く面と向かって謝りたい。そう思いながらしばらく外を眺めていた。
入江が屯所に戻ると,門の前には女将が居た。
「入江様っ!」
「こんな所で何してる。迷惑だ。」
入江は駆け寄ってきた女将を馬の上から睨み付けた。
「どうして会いに来てくれないの?毎日会うって言ってくれたのに……。」
甘えたような声に入江の体は一瞬で粟立った。むずむずして今すぐ全身を掻きむしりたかった。
「毎日は無理だと初めに言った。私には私の勤めがある。それに今は藩主様の命にある。私が藩主様に逆らい首をはねられる所を見たいのか?」
そう脅すと流石に青ざめた顔で首を横に振って否定した。
「では松子様は?今どこで何してるの?一緒ではないの?」「松子は木戸さんの妻としての役目がある。それを果たす為に今は不在だ。分かったなら帰れ。」
入江は冷たくあしらって屯所に入った。急いで馬を繋いで玄関に飛び込んで鍵を掛けた。
「お帰り……まだおったんやな……。」
高杉がげんなりした顔で出迎えた。かなり応戦してくれたのだと見て入江はすまないと項垂れた。
「今日は夕餉を共にする約束をしちょるって言い張った。昨日会っとらん癖にそんな約束しとる訳ないやろって追い払ったんやけどな……。とりあえず飯にしよ。な?」
高杉はぽんぽんと入江の肩を叩いて中に引っ込んだ。入江も足を洗ってすぐに広間に向かった。
夕餉を食べながらも話題は常に女将の話。隊士達が町に行って調査していた。
「元周様の言う通り,嫁ちゃんは夫が在りながら入江さんも誑かしてるって触れて回っちょった。」
「あいつ殴っていいやろか。」
高杉は箸を折りそうなぐらいの力を手に込めた。
「私も千賀様からそれは聞いちょる。ただ千賀様は手立てはあると仰ってた。やけぇまだ様子を見んと分からん。」
入江はあの夫婦が一体何を考えてるかは分からないが,連携が取れているのを目の当たりにしたから敵には回したくない二人だと口にした。
入江は夕刻には屋敷を出る。夕餉の時刻に三津との鉢合わせを避ける為。
元周は入江の伝言を伝えるべく三津を探していると,
「松子,お前何してる?」
「元周様っ!今日は沢山稽古をつけていただいたのでお返しに掃除でも手伝えたらと!」
三津は襷掛けに姐さん被りで掃除に励んでいた。その姿に一瞬唖然とした元周だがそれから声を上げて笑った。
「そうか。ならついて参れ。」 https://note.com/ayumu6567/n/n87f465a63cc6?sub_rt=share_pb https://community.joomla.org/events/my-events/jinnimo-qikisouna-yande-jieme-jitta.html http://kiya.blog.jp/archives/24619233.html
元周は手招きして三津をとある場所へ連れて行った。
「ここの部屋も磨いとけ。外の景色を見ながらの掃除も良いだろ。」
元周は庭先から門までが望める部屋へ連れて来た。
「凄い。綺麗。」
山の中にある屋敷だからこその木々が生い茂る景色に感嘆の息を洩らした。そして外を眺めていると門に向かい,石段を下りる人影に気が付いた。
「あれ……。」
見覚えのある着物の後ろ姿に三津は身を乗り出した。
「ありつつも 君をば待たむうち靡く 我が黒髪に霜を置くまでに。
今日詠んで行った歌じゃ。このままあなたを待ちましょう。私の黒髪が白髪になるまで。
愛されとるなぁ松子は。
それが終わったら今日も晩酌に付き合えよ。」
そう言い残して元周は部屋を出た。三津は深く頭を下げた後に,また身を乗り出して入江が馬で去って行く姿を見届けた。
『あんなに冷たく突き放したのに……。』
早く面と向かって謝りたい。そう思いながらしばらく外を眺めていた。
入江が屯所に戻ると,門の前には女将が居た。
「入江様っ!」
「こんな所で何してる。迷惑だ。」
入江は駆け寄ってきた女将を馬の上から睨み付けた。
「どうして会いに来てくれないの?毎日会うって言ってくれたのに……。」
甘えたような声に入江の体は一瞬で粟立った。むずむずして今すぐ全身を掻きむしりたかった。
「毎日は無理だと初めに言った。私には私の勤めがある。それに今は藩主様の命にある。私が藩主様に逆らい首をはねられる所を見たいのか?」
そう脅すと流石に青ざめた顔で首を横に振って否定した。
「では松子様は?今どこで何してるの?一緒ではないの?」「松子は木戸さんの妻としての役目がある。それを果たす為に今は不在だ。分かったなら帰れ。」
入江は冷たくあしらって屯所に入った。急いで馬を繋いで玄関に飛び込んで鍵を掛けた。
「お帰り……まだおったんやな……。」
高杉がげんなりした顔で出迎えた。かなり応戦してくれたのだと見て入江はすまないと項垂れた。
「今日は夕餉を共にする約束をしちょるって言い張った。昨日会っとらん癖にそんな約束しとる訳ないやろって追い払ったんやけどな……。とりあえず飯にしよ。な?」
高杉はぽんぽんと入江の肩を叩いて中に引っ込んだ。入江も足を洗ってすぐに広間に向かった。
夕餉を食べながらも話題は常に女将の話。隊士達が町に行って調査していた。
「元周様の言う通り,嫁ちゃんは夫が在りながら入江さんも誑かしてるって触れて回っちょった。」
「あいつ殴っていいやろか。」
高杉は箸を折りそうなぐらいの力を手に込めた。
「私も千賀様からそれは聞いちょる。ただ千賀様は手立てはあると仰ってた。やけぇまだ様子を見んと分からん。」
入江はあの夫婦が一体何を考えてるかは分からないが,連携が取れているのを目の当たりにしたから敵には回したくない二人だと口にした。
Posted by energyelaine at 01:13│Comments(0)