2023年08月21日

のちがい、合う合わぬと

のちがい、合う合わぬというのはあろう。だが、兄と弟という血の絆は、終生途切れることはない。いつか再会できることもあろう。そのときには、笑って「昔、新撰組でこういうことがあったな」といいあうとうよかろう。わたしや歳も兄貴たちにいじめられたが、いまではいい思い出であるし、いまだに頼ってしまう。ぽちたま先生や、あの仔馬たちも同様だ。二度と会うこともないなどと、けっして申してはならぬ」

 熱心に諭す局長。

 さきほどの双子のやりとりは、局長へつなげる演技だったのであろう。おそらく、であるが。

「わかったな?」
「はい」

 素直に返事する市村。

 連れ立って外にでると、
https://freelancer.anime-voice.com/Entry/55/ https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-57.html https://besidethepoint.mystrikingly.com/blog/1ad6e3a65d3 双子の姿はなかった。

 かれらはすでに、朝食の準備にとりかかっているのである。
 竈で懸命に米を炊いている俊春をよくみると、その額の中心が真っ赤にはれあがっている。

 俊冬がかれに、でこぴんでも発動したのか?その痕にちがいない。

 兄貴は兄貴で大変なのであろう。が、弟も弟で、たまーにキレたら兄貴にお仕置きされてしまう。

 それでも、兄弟っていいよな、なんてつくづく感じるのは、一人っ子の贅沢な思いなのであろうか。


 朝食は、赤飯と鯛の尾頭付きであった。
 金子が準備し、双子が蒸したのである。

「へー、双子の仔馬か」
「そのお祝い?」
「めでたいことだ」

 朝食に集まってきた隊士たちは、おおよろこびしている。まぁ、これが山菜おこわや中華ちまきであっても、おおよろこびするのだが。

 朝食は、局長の部屋でいただいた。副長と島田と安富と子どもらもいっしょである。

 縁側をはさんだちいさな庭で、相棒もいただいている。犬は、豆類は消化に悪いため大量に与えるのはNGである。ゆえに、俊春は小豆を少量にしてくれたようだ。鯛は、きっちり身をほぐしてちりばめられている。そこに、王道の沢庵がでんとその威容を誇る。

「荷物の準備は、できているのか?」

 副長に尋ねられ、全員がうなずく。局長もふくめて、である。

 さきほど、借りものの着物から軍服に着替えた。洗濯は、しなくていいという。

「なら、ひと寝入りしろ」

 副長の勧めに、全員がうなずく。局長もふくめて。

 そのタイミングで、双子がさらなる蒸し器をもってはいってきた。

「おかわり」

 まずは、島田。しかも、島田は丼である。

「おかわり」
「わたしも」
「わたしも」

 結局、全員がおかわりする。

 小豆はほくほくしていて、もち米はふっくらしている。

 赤飯って、冷めてべっちゃりしたイメージが強く、祝い事で喰うぐらいであったが、この赤飯は掛け値なしにうまい。

 鯛は、旬の時期がほんのわずかずれている。これもまた、正月のときのように、冷めてぱっさぱさの身を喰うっていうイメージで、実際、そんな鯛の尾頭付きにしかであったことがなかった。が、これはちがう。塩がそこはかとなくきいていて、しかも身はふっくらしている。このくらいの時期だと、脂があまりのっていないはずが、いい感じにのっている。さすがは魚の王様である。

 金子は、すべての食材をいいもので取り揃えてくれたのだろう。そして、それを最高の料理人が調理するのである。うまくないはずがない。

「ぽちたま、うますぎた。また、歳の体躯に肉がつくであろう」

 局長は、膳の上から湯呑をとりあげ、茶をすすりながらしれっという。

「ああ?んなことはねぇって、まえにいったよな?」

 そして、またしても「太ったんじゃない?」疑惑にブチぎれる副長。

「なにを喰ってもうまく感じられるのは、誠にありがたい」

 局長は、こうみえても繊細である。京にいた、ストレス性胃炎で苦しんでいた。それを、双子が料理や鍼やマッサージやアロマテラピーっぽいものまで、あらゆる方法を駆使して治してしまったのである。

「みな、太りましたよ。鉄と銀くらいじゃないでしょうか?肉にならずに背が高くなったのって」
「うらやましいかぎりじゃねぇか、ええ?」

 おれのジョークともいえぬ言葉に、副長が苦笑する。

 子どもらは、マジで背が高くなっている。成長期にくわえ、双子の栄養バランスの整った食事を摂取しているからだ。

「ぽちたま。すまぬが、関東郡代に使いを頼まれてはくれぬであろうか」 後片付けをしはじめた双子に、局長が依頼する。

「また、転陣許可の書状か?幾度だそうが、返事はきまってる」
「一応、筋はとおさねばな、歳。だが、これで最後。いつものように否、という返答でも、数日の後には出発する。いついつまでも、金子殿に迷惑をかけるわけにもゆかぬゆえ」
「承知いたしました、局長。わたしからは、なにかいたしますか?」



Posted by energyelaine at 19:05│Comments(0)
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