2023年04月27日
「双子先生は
「双子先生は、大丈夫だ。おまえたちの気持ちは、充分承知している」
斎藤のいうとおりである。
「副長、薩摩っぽの二個小銃隊確認。距離約五町(約550m)っ」
見張り役をしている一番組の隊士の叫び声。
蟻通は、ぶっちゃけかわり者である。
新撰組の初期のからの隊士で、小柄だが目端がきき、しかも、剣をそこそこつかう。かれも副長とおなじく、奔放な剣を遣う。
つまり、流派に縛られず、各流派のいいところをとりいれ、動態紋醫美 botox眉心 魚尾紋消除 それを器用につかいこなす。
オリジナル、あるいは、蟻通流といったところか。
副長とおなじく、とは語弊があるか?
かれの名誉のためにいっておくが、かれの剣に、汚い要素はいっさいない。
一番組は、局長の親衛隊ともいえる。
なみいる剣巧者のなかでも、沖田につぐ実力といっても過言ではない。
、伍長として組長代理を務めるのが妥当とであろう。
が、かれは平隊士。の上に立つのは面倒くさい。責任ある地位は、ご免こうむる」と、出世をいっさい拒否っている。
かれもまた、蝦夷まで副長と行動をともにする数すくない隊士の一人である。
そして、副長とおなじ日に戦死する。
「「主計、並走し、銃を放ってくれぬか?」
いつの間にか、俊冬が背後にいた。
そのまたうしろに、安富と久吉が、「豊玉」と「宗匠」の手綱をとり、立っている。
答えるよりもはやく、俊冬は、二丁のエンフィールド銃をおしつけてくる。
「騎馬に跨った四名。あれを、射殺する。その間に、弟が敵陣に躍りこむ」
俊冬は、枝上で羽をやすめている野鳥の写真でも撮るみたいにいう。
エンフィールド銃の射程距離は、約900mだったかと思う。
向こうもおなじ銃をもっている。ということは、すでに射程距離に入っている。の視力で、われわれの眉間や心臓を撃ち抜くのは難しい。
が、理論上では、あてて傷つけることはできる。
現在、風はほぼ吹いていない。
向こうがその気になれば、こちらは撃たれ、被害がでる。
「おぬしは、撃つ必要はない。さきほども申したとおり、合図したらその二丁を放ってくれるだけでよい」
「わかりました。やります。でも、どうしても俊春殿一人を・・・」
「みえている敵にだけ、打撃をあたえるわけではない。それにより、周囲の隊や寝返った藩にしらしめることができる。むしろ、そちらのほうが重要。「狂い犬」が、
本来なら、沖田不在のの肉を喰らい、血をすする。そのことを、派手にしらしめる。それは、恐怖となって伝わってゆく。恐怖は浸透し、今後の戦に影響を与える」
戦術・・・。
戦場において、恐怖や不安ほど伝染率のすさまじいものはない。それこそ、瞬く間にひろがり、の奥底に根付く。
「本来なら、わたしも・・・。だが、わたしには護らねばならぬものがある」
胸元の銃から、俊冬へとを移す。
井上と山崎のことか・・・。
「まいるぞ」
俊冬は自分の二丁を小脇に抱え、「豊玉」に跨る。
み上げると、俊冬のは、副長と俊春のほうに向いている。
双子は、さきほどからいっさい言葉をかわしていない。
かわす必要がないのか。それとも、かわしにくいのか・・・。
互いを想いやっているからこそ、かわせぬのか・・・。「俊春、無茶すんじゃねぇ。いくらおめぇでも、二個銃小隊相手に全部を斬り捨てるなんざ、
。そうだろうが、ええ?」
つまり、斬り損じてあたりまえ、ありえること。ゆえに、討ちもらしてもいい、と伝えたいのであろう。
副長のさして分厚くない掌が、俊春の右肩をがっしりと掴む。
俊春は、シャツ姿になるとますます華奢だと感じる。
かれは、両掌にそれぞれ刀を握り、それをだらりとたらしたまま無言で立っている。
「餓鬼ののようなことは、二度とねぇ。おめぇは、だれよりも強くやさしい立派な剣士。新撰組の隊士だ。だれがなんといおうと、おめぇはのようなことは、二度とねぇ。おめぇは、だれよりも強くやさしい立派な剣士。新撰組の隊士だ。だれがなんといおうと、おめぇはをあげる。
「承知」
俊春が了承した刹那、胸元にあった掌が、かれのなんちゃってスポーツ刈りの頭を撫でる。
斎藤のいうとおりである。
「副長、薩摩っぽの二個小銃隊確認。距離約五町(約550m)っ」
見張り役をしている一番組の隊士の叫び声。
蟻通は、ぶっちゃけかわり者である。
新撰組の初期のからの隊士で、小柄だが目端がきき、しかも、剣をそこそこつかう。かれも副長とおなじく、奔放な剣を遣う。
つまり、流派に縛られず、各流派のいいところをとりいれ、動態紋醫美 botox眉心 魚尾紋消除 それを器用につかいこなす。
オリジナル、あるいは、蟻通流といったところか。
副長とおなじく、とは語弊があるか?
かれの名誉のためにいっておくが、かれの剣に、汚い要素はいっさいない。
一番組は、局長の親衛隊ともいえる。
なみいる剣巧者のなかでも、沖田につぐ実力といっても過言ではない。
、伍長として組長代理を務めるのが妥当とであろう。
が、かれは平隊士。の上に立つのは面倒くさい。責任ある地位は、ご免こうむる」と、出世をいっさい拒否っている。
かれもまた、蝦夷まで副長と行動をともにする数すくない隊士の一人である。
そして、副長とおなじ日に戦死する。
「「主計、並走し、銃を放ってくれぬか?」
いつの間にか、俊冬が背後にいた。
そのまたうしろに、安富と久吉が、「豊玉」と「宗匠」の手綱をとり、立っている。
答えるよりもはやく、俊冬は、二丁のエンフィールド銃をおしつけてくる。
「騎馬に跨った四名。あれを、射殺する。その間に、弟が敵陣に躍りこむ」
俊冬は、枝上で羽をやすめている野鳥の写真でも撮るみたいにいう。
エンフィールド銃の射程距離は、約900mだったかと思う。
向こうもおなじ銃をもっている。ということは、すでに射程距離に入っている。の視力で、われわれの眉間や心臓を撃ち抜くのは難しい。
が、理論上では、あてて傷つけることはできる。
現在、風はほぼ吹いていない。
向こうがその気になれば、こちらは撃たれ、被害がでる。
「おぬしは、撃つ必要はない。さきほども申したとおり、合図したらその二丁を放ってくれるだけでよい」
「わかりました。やります。でも、どうしても俊春殿一人を・・・」
「みえている敵にだけ、打撃をあたえるわけではない。それにより、周囲の隊や寝返った藩にしらしめることができる。むしろ、そちらのほうが重要。「狂い犬」が、
本来なら、沖田不在のの肉を喰らい、血をすする。そのことを、派手にしらしめる。それは、恐怖となって伝わってゆく。恐怖は浸透し、今後の戦に影響を与える」
戦術・・・。
戦場において、恐怖や不安ほど伝染率のすさまじいものはない。それこそ、瞬く間にひろがり、の奥底に根付く。
「本来なら、わたしも・・・。だが、わたしには護らねばならぬものがある」
胸元の銃から、俊冬へとを移す。
井上と山崎のことか・・・。
「まいるぞ」
俊冬は自分の二丁を小脇に抱え、「豊玉」に跨る。
み上げると、俊冬のは、副長と俊春のほうに向いている。
双子は、さきほどからいっさい言葉をかわしていない。
かわす必要がないのか。それとも、かわしにくいのか・・・。
互いを想いやっているからこそ、かわせぬのか・・・。「俊春、無茶すんじゃねぇ。いくらおめぇでも、二個銃小隊相手に全部を斬り捨てるなんざ、
。そうだろうが、ええ?」
つまり、斬り損じてあたりまえ、ありえること。ゆえに、討ちもらしてもいい、と伝えたいのであろう。
副長のさして分厚くない掌が、俊春の右肩をがっしりと掴む。
俊春は、シャツ姿になるとますます華奢だと感じる。
かれは、両掌にそれぞれ刀を握り、それをだらりとたらしたまま無言で立っている。
「餓鬼ののようなことは、二度とねぇ。おめぇは、だれよりも強くやさしい立派な剣士。新撰組の隊士だ。だれがなんといおうと、おめぇはのようなことは、二度とねぇ。おめぇは、だれよりも強くやさしい立派な剣士。新撰組の隊士だ。だれがなんといおうと、おめぇはをあげる。
「承知」
俊春が了承した刹那、胸元にあった掌が、かれのなんちゃってスポーツ刈りの頭を撫でる。
Posted by energyelaine at 19:49│Comments(0)