2024年04月03日
桂が苦笑しながら近くに居た伊藤に問うと大きく頷いた。
桂が苦笑しながら近くに居た伊藤に問うと大きく頷いた。
「空気の読めない高杉を機嫌よくここに留めるには酒だと酒を用意させてせっかく本物の芸妓が来てるのに拝まなくてどうすると白石さんを唆し……。」
「ほらね。大丈夫だった。」
桂が微笑むと三津も微笑み返して頷いた。そんな二人を見つけて割り込むように入江が近寄った。
「三津,食べり。何も食べんのはいけん。」 https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/04/03/182125 https://travelerbb2017.zohosites.com/ http://kiya.blog.jp/archives/24350188.html
入江はにこにこしながらおにぎりを一つ差し出した。
「あっありがとうございます。」
伊藤も座って座ってと三津を座らせお茶を用意した。自分とは違って待遇がいいなと苦笑しつつ桂もその隣りに腰を下ろした。
桂はおにぎりを頬張る姿を横目に目尻を下げた。
さっきまでは扱い難くてどうしようかと思っていたのが嘘のように今は心の底から穏やかな気分だ。
「美味しい?それ私が握ったそ。」
「んっ!九一さんが?ありがとうございます。美味しいですよ。」
口にあったものを慌てて飲み込んでお礼を言った。何も食べてない自分を思って握ってくれたのかと思うとより有り難みが増す。
『九一の奴抜かりない……。あのつげの櫛と言いどこまで用意周到なんだ……。』
嫉妬の目で見ているとそれに気付いた入江が厭味ったらしく口角を上げた。
「三津もそれ食べ終えたら紅引かん?私が贈ったヤツ。それでお酌されたいわ。」
「お酌するだけならいいけど多分誰かしらに呑まされるでしょ?塗ったまんま寝てもたらあっちこっちに紅つけて汚してしまう。」
「私のここ汚してくれたらいいそ。」
入江はにんまり笑いながら自分の唇と首筋を指でとんとんと叩いた。
『待て待て。九一が贈った紅?おい,いつの間にそんな物を贈った。』
カッと目を見開いて二人を見るが,顔を赤らめる三津とそれを見つめてにやける入江。そんな二人の眼中に全く入らない。何と言う事だ。
「桂様も一杯いかがでしょう?」
いいところに文が酒を持って現れた。これはもう呑むしかない。「少しは互いの心内を話せましたか?」
「うむ,少しだけだが距離は近付けた気はするが……。それよりも九一の距離感がおかしい。」
気に食わんと入江を睨むが当の本人は何が?とわざとらしく首を傾げている。
「私だって努力しましたよ?生きて帰って来た時には大刀三本分は離れろと虐げられてたのがやっとこの距離……。」
「不器用なりに頑張ったのね,お疲れ様。」
文は労いの言葉と共に酒を渡してやった。
「おっ桂さんと九一も呑みだしたか!」
幾松と文によって既に相当飲まされている高杉が千鳥足でやって来た。
「三津さん帰って来てくれたかぁ!良かった良かった記念に呑め。」
何の記念だと三津が苦笑していると文がさっさと潰れろと高杉の口に直接酒を注いだ。積年の恨みが滲み出ている。
「高杉はんこっちで私と遊ぼうや。」
幾松は猫なで声で高杉の腕を掴んだ。邪魔者は潰しておくからと桂と入江に目配せをして高杉を引きずって行った。その先には既に幾松の妖艶さにやられて潰れた奴らがゴロゴロ転がっていた。
相変わらず幾松の武器は凄いなと感心している三津の横に赤禰が腰を下ろした。赤禰が来ると三津の顔がこれでもかと言うぐらいふにゃふにゃになる。
「今日はどうする?呑む?」
いつの間にか三津専用酒の担当は赤禰になっていた。信頼を勝ち取った男にしか担えない大役なのかもしれない。
「んーちょっとだけ。」
ちょうだいと甘えた声で酒をねだった。
「あらやだ。赤禰さんしっかり三津さんの心開いちょるやん。三津さん選択肢に赤禰さんも入れたら?」
文の言葉に三津はとんでもないと首をぶんぶん横に振った。
「赤禰さんを選択肢やなんて私何様ですか!アカンアカン!」
「そうか?俺は光栄やけどな,こんないい女。ほれ呑み。」
三津はお猪口を受け取ると恥じらいながら口をつけた。
「文ちゃん恋敵増やすの止めてくれ……。」
桂が心臓に悪いと左胸を押さえた。
「空気の読めない高杉を機嫌よくここに留めるには酒だと酒を用意させてせっかく本物の芸妓が来てるのに拝まなくてどうすると白石さんを唆し……。」
「ほらね。大丈夫だった。」
桂が微笑むと三津も微笑み返して頷いた。そんな二人を見つけて割り込むように入江が近寄った。
「三津,食べり。何も食べんのはいけん。」 https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/04/03/182125 https://travelerbb2017.zohosites.com/ http://kiya.blog.jp/archives/24350188.html
入江はにこにこしながらおにぎりを一つ差し出した。
「あっありがとうございます。」
伊藤も座って座ってと三津を座らせお茶を用意した。自分とは違って待遇がいいなと苦笑しつつ桂もその隣りに腰を下ろした。
桂はおにぎりを頬張る姿を横目に目尻を下げた。
さっきまでは扱い難くてどうしようかと思っていたのが嘘のように今は心の底から穏やかな気分だ。
「美味しい?それ私が握ったそ。」
「んっ!九一さんが?ありがとうございます。美味しいですよ。」
口にあったものを慌てて飲み込んでお礼を言った。何も食べてない自分を思って握ってくれたのかと思うとより有り難みが増す。
『九一の奴抜かりない……。あのつげの櫛と言いどこまで用意周到なんだ……。』
嫉妬の目で見ているとそれに気付いた入江が厭味ったらしく口角を上げた。
「三津もそれ食べ終えたら紅引かん?私が贈ったヤツ。それでお酌されたいわ。」
「お酌するだけならいいけど多分誰かしらに呑まされるでしょ?塗ったまんま寝てもたらあっちこっちに紅つけて汚してしまう。」
「私のここ汚してくれたらいいそ。」
入江はにんまり笑いながら自分の唇と首筋を指でとんとんと叩いた。
『待て待て。九一が贈った紅?おい,いつの間にそんな物を贈った。』
カッと目を見開いて二人を見るが,顔を赤らめる三津とそれを見つめてにやける入江。そんな二人の眼中に全く入らない。何と言う事だ。
「桂様も一杯いかがでしょう?」
いいところに文が酒を持って現れた。これはもう呑むしかない。「少しは互いの心内を話せましたか?」
「うむ,少しだけだが距離は近付けた気はするが……。それよりも九一の距離感がおかしい。」
気に食わんと入江を睨むが当の本人は何が?とわざとらしく首を傾げている。
「私だって努力しましたよ?生きて帰って来た時には大刀三本分は離れろと虐げられてたのがやっとこの距離……。」
「不器用なりに頑張ったのね,お疲れ様。」
文は労いの言葉と共に酒を渡してやった。
「おっ桂さんと九一も呑みだしたか!」
幾松と文によって既に相当飲まされている高杉が千鳥足でやって来た。
「三津さん帰って来てくれたかぁ!良かった良かった記念に呑め。」
何の記念だと三津が苦笑していると文がさっさと潰れろと高杉の口に直接酒を注いだ。積年の恨みが滲み出ている。
「高杉はんこっちで私と遊ぼうや。」
幾松は猫なで声で高杉の腕を掴んだ。邪魔者は潰しておくからと桂と入江に目配せをして高杉を引きずって行った。その先には既に幾松の妖艶さにやられて潰れた奴らがゴロゴロ転がっていた。
相変わらず幾松の武器は凄いなと感心している三津の横に赤禰が腰を下ろした。赤禰が来ると三津の顔がこれでもかと言うぐらいふにゃふにゃになる。
「今日はどうする?呑む?」
いつの間にか三津専用酒の担当は赤禰になっていた。信頼を勝ち取った男にしか担えない大役なのかもしれない。
「んーちょっとだけ。」
ちょうだいと甘えた声で酒をねだった。
「あらやだ。赤禰さんしっかり三津さんの心開いちょるやん。三津さん選択肢に赤禰さんも入れたら?」
文の言葉に三津はとんでもないと首をぶんぶん横に振った。
「赤禰さんを選択肢やなんて私何様ですか!アカンアカン!」
「そうか?俺は光栄やけどな,こんないい女。ほれ呑み。」
三津はお猪口を受け取ると恥じらいながら口をつけた。
「文ちゃん恋敵増やすの止めてくれ……。」
桂が心臓に悪いと左胸を押さえた。
Posted by energyelaine at 18:23│Comments(0)